シェクイスピア4大悲劇の一つ。小説の早読みの練習として。読んだのは福田恆存訳の新潮文庫版。初出は昭和44年(1969年)。原作は1606年頃に書かれた戯曲。以下ネタバレ注意。
■あらすじ
スコットランドの武将マクベスが実は王になりたいと思っていて、荒野で出会った魔女3人の予言と野心家の妻の勧めにより、野望を実行に移す。王ダンカンを自分の城で暗殺し、マクベスは王位を奪う。しかし、手に入れた王位を失うことの不安から、マクベスは疑心暗鬼になって周囲の人を殺しまくり、最終的にはイングランド軍に討ち込まれて死ぬ。
■おさえておきたい名言
「きれいはきたない、きたないはきれい」
(Fair is foul, and foul is fair.)
第1幕第1場 冒頭の魔女の台詞
「消えろ、消えろ、つかの間の燈し火(ともしび)! 人の生涯は動きまわる影にすぎぬ。あわれな役者だ、ほんの自分の出場のときだけ、舞台の上で、みえを切ったり、喚いたり、そしてとどのつまりは消えてなくなる。白痴のおしゃべり同然、がやがやわやわや、すさまじいばかり、何の取りとめもありはせぬ」
(Out, out, brief candle! Life’s but a walking shadow, a poor player. That struts and frets his hour upon the stage,And then is heard no more. It is a tale told by an idiot, full of sound and fury, Signifying nothing.)
(第5幕第5場、妻の死の報を聞いたマクベスの台詞)
■感想
王位簒奪と疑心暗鬼と破滅の物語。それは戦記ものやマフィア映画など、後世の多くの作品に影響を与えた偉大な古典作品ではあるとは思う。だが、何の予備知識もない現代の日本人が初読で文庫版の小説を読んで楽しめるとは思えない。ゲーテの作品同様、表現がいちいちくどく、作者が自己陶酔している感が鼻につく。ただ、教養として知識を持っておくと何かと役立つので、大雑把に筋を理解しておくのがいいと思われる。興味を持った人が、じっくり精読すればよい。