ザ・ベスト・オブ・コニー・ウィリスと銘打たれる短編集の前半。アメリカSF界の大御所であるネビュラ賞、ヒューゴー賞受賞作が並び、お笑い重視の作品を集めているとのこと。
正直、コニー・ウィリスの作品に宿る知的でユーモラスな雰囲気や愛のある辛辣さは好きなのだが、笑いのツボが自分に合っているとはいいがたい。複雑系の中で真実を探そうと奔走する登場人物の態度は好き。売れっ子霊媒師のインチキを暴く『インサイダー疑惑』、異星人の行動様式の解明を目指す『まれびとこぞりて』のような系統が読んでいて楽しい。異色の月経SF『女王様でも』も秀作ではある。
知的興奮と愛のある物語を享受できる作品ではある。ちなみに同作者の個人的ベストは『航路』である。