パンデミック映画その2。
スティーブン・ソダーバーグ監督の2011年の作品。
アマゾンプライムのレンタルで視聴。
スター俳優が多数登場するキャストの豪華さに目を奪われるが、実際に中国初の新型コロナウルス(SARS-CoV-2)が世界中で流行している2020年3月の段階で見ると、パンデミックが起きた世界の描写の正確さに驚く。本作では香港で始まった呼吸器系の新興感染症が世界中に伝播し、大勢の人間を死に至らしめ、社会が混乱する様子が描かれる。
医療崩壊、都市の閉鎖(ロックダウン)、物資の不足と暴動、ブロガーによる煽動など、最近起きている現実と比較して全く違和感がなく、2020年の世界を予言しているかのようである。勿論、細部に違いはあるが、リンクする部分があまりに多く、製作陣の仕事の質の高さが窺える。
映画の構成は、アメリカのCDC(国家的な感染症対策センター)の職員、感染者の家族、ワクチン開発者など、並行的にいくつもの人物の視点が描かれる群像劇である。テンポがいいのか、演出がいいのか、全く飽きが来ずに最後まで見ることができた。いい役者が多く、音楽もクール。ソダーバーグ節ともいえる、抑制の効いた淡々とした展開が観ていてストレスを感じさせない。
現実は映画を超えそうな様相であるが、今このタイミングでぜひ観るべきエンターテイメント作品だと思う。