北野武監督の映画。1993年作品。
90分とコンパクトにまとまり、北野武の生死観と虚無が全面に出ている映画だった。暴力、性愛、そしてあの独特のユーモアセンスは、虚無の上に成り立っているし、その虚無ゆえに必要としているように思われた。カミュやヘミングウェイの感性が近いのかもしれない。生きていく上での絶望や孤独を受け入れ、退屈をまぎらわすための刺激を欲している。
印象的なのは、唐突に挿入されるくだらない遊びのシーン。舎弟と興じるトントン相撲や落とし穴などの悪ふざけと、簡単に人が死ぬ凄惨なシーンの対比が深い印象を残す。芸人ビートたけしがテレビで提供してきた数々の笑いも、同じような価値観、同じような意匠の上に作られたんだろうと気づかされる。
平成の空気、沖縄の異国情緒、エクソシスト風の久石譲のBGMが組み合わさって、いい感じに調和していた。北野武監督の映画をもっと観たくなった。