山形浩生のTwitterのコメントを見て、久しぶりに観たくなったので鑑賞。初めて観たのは中学生のときの金曜ロードショーだったか。大学生のときにも観たと思うので、10年ぶりくらいの鑑賞。
先天的な知的発達の問題(知恵遅れ)があるフォレスト・ガンプという少年が主人公で、彼の数奇な人生が、20世紀後半のアメリカの歴史とともに描かれる話である。1950年代、アメリカの片田舎であるアラバマ州グリーンボウで生まれ育ち、幼馴染のジェニーと出会い、ヴェトナム戦争やヒッピームーブメントなどの歴史的事象に翻弄される。
同時代を生きたアメリカ人にはたまらん内容だったのだろう…という「ツボを押さえた感」が全面に出ている。邪念のない、純真な心を持つフォレストの眼に映る世界は慈愛に満ちているが、能天気な心温まる話では決してなく、世界の残酷さ、無慈悲さたっぷりと盛り込まれている。母親の性的供与、隣人の小児性愛と性的虐待、幼少期に外傷を負った少女の転帰、戦争と死別、など、滑稽でコミカルな語り口とは対照的な、厳しい現実のエッセンスが随所に配置され、観るものに思弁や洞察を促す。
贅沢な90年代の娯楽だった本作品も、2019年に30代になって観た私の心にはあまり響かなかった。泣かせのテクニックのあざとさが鼻についたのか。いい出来の映画だとは思うが、良くも悪くも90年代の呪縛のようなものを感じる。Loveで何でも解決しようとする、思考停止しがちな思想のような。