「一番好きな小説家は誰か?」と問われたら、金城一紀と答えることが多い。ドストエフスキーやヘミングウェイや三島由紀夫と答えた方が格好がつくことは承知しているが(実際TPOの都合上そういう答えをする場面も多いんだが)、本音を言わせてもらえれば間違いなく『GO』やこの作品の作者である彼の名を挙げたい。
その作風とはどんな性質か。
笑えて泣ける。これに尽きる。
都内屈指の偏差値の低さをもつ底辺高校の男達がゾンビーズというチームを結成し、近所のお嬢様が通う女子高の学校祭への潜入に挑む表題作と他2編を所収。アホな偉業に本気で挑む情熱の裏には、深い悲しみを乗り越えた悟りがある。読むと生きる力が湧いてくる。
誰に勧めても面白いという感想が返ってくるテッパンの娯楽小説。
久しぶりに読み返してみたらやっぱりハンパなかった。
オススメっす。