高橋剛プロデュース、チョコレートのドキュメンタリー映画。高城氏のメルマガで知り、特典欲しさにAmazonでレンタルしてストリームで視聴。2021年1月公開。75分。
東京の中目黒に店舗を構えるgreen bean to bar CHOCOLATEのオーナー安達建之氏の、チョコレート作りを追う作品である。同店の商品は、チョコレート界で最も高い権威をもつフランスのコンペティション(パリのサロン・デュ・ショコラ)で2018年にグランプリを受賞するなど、国際的にも高い評価を得ているらしい。その生産の過程を丹念に追うことで、高品質な1枚のチョコレートに至るための、複雑な世界の物語を体験することができる。
店舗名にも入っている”bean to bar”とは、カカオ豆からチョコレートになるまでの全行程を一貫して手作業で行うチョコレート製造に関する理念のこと。映像による説明が豊富で、その過程がわかりやすい。カカオ豆が、ライチのような果実の種のようなものであることを初めて知った。発酵の過程があることもこれで知った。
構成は、華やかにチョコレートが消費される東京の店舗から導入され、チョコレートの製造過程や、安達氏がbean to barという理念に至るまでの経緯を紹介し、後半は高品質のカカオを求めて南米のアマゾンへと向かうというもの。その過程で、一筋縄ではいかない経済格差などの社会問題を映し出す。
私は高城剛氏のファンだが、氏がメルマガなどで言及する哲学が、本作品には凝縮されている感じがする。自分の足を使って歩き回り、全身で感じ取り、試行錯誤を繰り返す。ご褒美のような最高の瞬間にたどりつくためのヒントが、随所に散りばめられている。映画の構成やテーマとしてあまり目新しいものはないが(『おいしいコーヒーの真実』とかに近い)、ドローンを駆使した繊細な映像美や、優しい環境音楽、解説のわかりやすさが調和し、内容がストレスフリーで入ってくるのが好感。
チョコレートのドキュメンタリーだが、チョコレートだけの話ではない。
そんな映画だと思う。