イタリアの伊達男が美人をコマし享楽的に生きる話。
1960年作品。監督はフェデリコ・フェリーニ。
予備知識なしで観ると展開は意味不明で、3時間の長尺はしんどかった。だが、楽しむべきポイントは幾つかある。まずは主演俳優(マルチェロ・マストロヤンニ)の佇まいがクール。落ち着きと余裕を漂わせるダンディズム。イタリアクラシコなジャケットやシャツの洗練された着こなしも格好いい。女優では瀟洒なマッダリーノ(アヌーク・エーメ)、ウエイトレスの素朴な美人が2大巨頭。古き良きイタリアのロマンスが散発し、原初的な生きる歓びの風味を味わえる。
ストーリーについては、wikipediaによると「1950年代後半のローマの豪奢で退廃的な上流階級の生態、その場限りの乱痴気騒ぎやアバンチュール、社会を生きる上で指針やモラルを失った現代人の不毛な生き方を、マルチェロの退廃的な生活を通じて描く」ということだが、ネット上の解説サイトを読むと、根源的な虚無を抱えた男が享楽に耽る、という主題があるらしい。ヘミングウェイやフィッツジェラルドと同心円。男には虚無に至り、享楽や耽美で退屈を慰撫する時期が訪れる、というのは普遍的な現象なんだろう。
沢山観るとお洒落な人になれる。そういう種類の映画かと。