2016年11月24日木曜日

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ


 男には『くも漫。』なら、女にはこれだろう。己の生き恥をエンターテイメントな人生の指南書に昇華したエッセイ漫画その2。

 28歳時点での作者の回想が綴られるが、摂食障害や非定型うつ病の当事者の世界観といおうか、メンヘラ女子の内面世界の生理感覚といおうか、外部から観察するだけでは分からない心理状態の描写が多い。根源的な不安と性的な身体接触の渇望には親和性がある(筆者個人はオキシトシンの分泌の問題だと思う)。

 たぶん、読む前に期待するエロい描写よりも、社会不適合で情緒不安定な若年女性の心理描写がメイン、というのは前評判の通り。そこに価値を見出せる人であれば楽しめるだろう。自己嫌悪と希死念慮を抱えた作者に生きることを選ばせたものが何だったか。そういうのを考えるのが好きな人には。

 エロに目覚めることが個人としての精神的な自立に繋がる、というのは何故なのか。映画『カッコーの巣の上で』を観た時も考えたが、そこには普遍的な真理があるように思う。世間や親や学校に押し付けられるもんじゃなく、自分の内側から芽生える歓び。自発性、身体性、関係性。そういうのが大事なのだ、きっと。
   

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