『麻雀放浪記』に登場する一匹狼のギャンブラーであるドサ健のスピンオフ。天涯孤独の身で「博打いちがい」に生きるドサ健が、博打に生きるライバル達と高額な現金を賭け、麻雀や手本引きで死闘を繰り広げる。
都会の闇に生きるアウトロー達の描写がメイン。マンションで非合法の賭場を経営するホステス、放蕩趣味の企業の御曹司、株屋の役員、女郎屋の息子など、経済観念の破綻した博打狂い達が大金を奪い合っては借金を重ね、やがて回らなくなって破滅し、脱落していく。身内に一人いたらたまったもんじゃない人達が多数登場し、あっさりと退場して行く。
作者自身の経験に裏打ちされたリアリティたっぷりの博奕打ちのメンタリティが描かれ、ある時代、ある種類の人々の文化風俗を伝える貴重な文化的資料になっている。運という非科学的なものを徹底的に考え抜く麻雀や手本引きの思考様式は示唆に富んでいて面白い。
そして何より、他人に迷惑をかけることを屁とも思わない最低の奴らばっかりなのに格好いい。命を賭けた勝負を繰り返すことが男を上げる。平成を生きる人々に最も足りない要素が凝縮している。剥き出しの本能で生きる感じ。