2016年7月21日木曜日

4年目



 「決意を持続させることのできるのは、習慣という怪物である」(三島由紀夫)

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 このブログを開始し、丸4年が経過した。実は経営予定のカフェをイメージした短編小説を書いていたが、家庭内のライフイベント及び仕事関係で余裕がなくなり、ここに載せるレベルには至らなかったため断念した。筆者の雑感でも書こう。

 ブログを続けているのは半分は意地で、半分は楽しみだ。鑑賞した物語が自分の脳内に残していった感覚や情報の断片を、ぼんやり思い返し、意味を考え、少し調べて、自分の言葉で語り直し、文章として残すようにしている。それは精神科医としての情報解釈の感性の、文筆家としての言語選択能力の、そして、ブックカフェのオーナーにふさわしい知識量を得るための最良のトレーニングであると考えている。楽しいから続けられる。淡々と蓄積し、取捨選択の結果がpile upしていく。

 30代になって思うのは、学生時代に夢を語っていた同年代はどうなっているんだろうか、ということ。「将来はこんな仕事をしたい」とか「いつかこんな店を開きたい」とか語っていた彼や彼女は今はどんな顔をして暮しているんだろうか。仕事したり、結婚したり、病気になったり、裏切られたり、選択を誤ったとヘコんだり、社会の波に揉まれ、自信を失っては、慰めを見つけて持ち直し、次第に世慣れて、くたびれ、諦めを知り、かつて友人達と語り合った理想が幼稚な戯れ言に過ぎなかったと思い至り、密かに赤面したり苦笑したりするんだろうか。

 自分が本当に好きだったものは何か。大人になるほど忘れそうになるから。それを思い出すために必要なものを、このブログでは研究している。音楽でも、食べ物でもいいんだろうが、物語でそれをやっている。いいものはいいという。自分に合わなかったら合わないという。心を構成する物語を見つける。見つけ直す。豊かな物語を身につければ、自分の心も、他人の心も、理解し、導くことができる。少なくとも、そういうのがすこし上手くなる。

 説明は煩雑だが、このブログが目指すものは自分のためにもなるし、誰かのためにもなると信じている。良質な物語は心に生きる力を与える。そんなストーリーに出逢える場所は自分で作らなければならない。まあ、そんな感じだ。

 10年続けますよ。よろしく。
 

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