2018年12月16日日曜日

ボヘミアン・ラプソディ


 世界中でヒット中のクイーンの伝記映画。

 一切の前情報なしで観に行ったが、かなりよかった。伝説のロックバンドであるクイーンの1973年のデビューから1985年のバンドエイドでのライブに至るまでの軌跡を描く。

 物語としては、主人公でバンドのメインボーカルであるフレディ・マーキュリーの青年時代が核になっている。インド系移民という出自、同性愛、放蕩と乱交、HIV、驕り、孤独…etc. 彼の人生は様々な文脈においてのマイノリティーの典型が重複しており、苦しみながらも創造的に生きようとする物語はまさしくボヘミアン(世間からのはぐれ者)のラプソディ(自由な形式の叙事詩)というほかない。

 フレディの、その破滅的な耽美主義の傾向はビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンリンキン・パークのチェスター・ベニントンの系譜に連なる。苦痛に満ちた彼の人生は、音楽によって救われていた。生前には彼のセクシュアリティやHIV罹患は公表されておらず、当時は謎に包まれていた妖しげな輝きの正体を解き明かしたような映画だ。控えめだが強い芯を持つブライアン・メイらとのチームケミストリーがいい。

 バンドっていいよね、と思える映画の最高峰だろう。
    

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