19作目。2011年作品。
これまた傑作。
冒頭、どういうわけかしんのすけが謎の機関に選ばれ、使者である少女レモンにスパイとしての訓練を施される。内容は『ミッション・インポッシブル』のパロディ…という導入から、次第に独自の展開へ続く。
これはテーマの選び方の妙で、クレしん映画との相性はバッチリ。温泉の感想で少し書いたが、クレヨンしんちゃんという作品の本質はロックな反骨精神による魂の解放にあると思う。性的放埒とユーモアはヒトを非人間化するシステムへの反抗であり、欺瞞を剥ぎ取り、感情を呼び覚まし、人間化を促す手段である。国家に殉ずる機械となることを求められるスパイという職業は非人間化の最たるものであり、クレしんワールドの人々と出会うことで起こる作中の化学反応は必然だった。あと、人前で屁をこくという行為はロックだと思う(本気だ)。
お下品で、痛快で、人間性を取り戻すヒトの話。これは名作。
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