2016年12月30日金曜日

映画クレヨンしんちゃんシリーズのまとめ


☆★おすすめランキング★☆

8位 スパイ大作戦(2011年)
9位 ブタのヒヅメ(1998年)
10位 カスカベ野生王国(2009年)
12位 サボテン大襲撃(2015年)
16位 ハイグレ魔王(1993年)
18位 歌うケツだけ爆弾(2007年)
19位 雲黒斎の野望(1995年)
20位 暗黒タマタマ(1997年)
21位 宇宙のプリンセス(2012年)
22位 金矛の勇者(2008年)
24位 踊れアミーゴ(2006年)



 シリーズを通して、基本は大人も子供も楽しめるファミリームービーであり、家族皆で楽しめる娯楽作品となっている。大人に寄り過ぎたり、子供に向き過ぎたり、横着して雑になったり、いろいろあるが、基本は安心して笑えるおバカで楽しい娯楽映画である。

 大人(30代~40代くらいを想定)が楽しいのはアッパレ戦国オトナ帝国ロボとーちゃん。子供が好きそうなのは嵐を呼ぶジャングルとかケツだけ爆弾。世界観の作り込みなど総合力ではヘンダーランドカスカベボーイズ超時空オラの花嫁あたりが強い。13作目(3分ポッキリ)から16作目(金矛の勇者)は暗黒時代なので、お勧めしない。

 筆者の個人的な考察として、何度か書いたが『クレヨンしんちゃん』という作品の本質は「抑圧された日本人のための娯楽」だと思う。下品で正直で自由なしんのすけは、親や学校や会社に抑圧されている人々のオルターエゴである。欲望と衝動のままに振る舞い、性の解放や諧謔(ユーモア)による社会風刺を顕現することで、真面目で窮屈な日本人の抑圧された魂を救済している。つまり、本シリーズの真の主人公は風間くんである(『ファイトクラブ』と同じ構造)。劇場版の扱いを見れば分かる。

 そして、クオリティのばらつき。ヒットを重ね、長寿シリーズになると共に、ネタの使い回しなどダメな部分が出てくるのが目に付く。産業化されて情熱がなくなったロック音楽に似ているというか、映像技術が高なる一方で内容が昔のヒット作の焼き直しばかりになりがちなアニメやゲームの業界に近いというか。商業化が製作陣の心を失わせ、良質な物語をダメにする産業構造が垣間見える。しかし、しばしば製作陣が奮起して復活するのは特筆に値する。『ロボとーちゃん』とかマジでビビる。そうした商売魂と制作魂の対立によって生まれるダイナミズムを意識すると、シリーズ鑑賞を一層楽しめるように思う。

 あとは、条件の変化と適応。ぶりぶりざえもんの声優が2002年に事故で急逝したため、以降の作品では声を聞けない。最高レベルに面白い素材だったのに惜しまれる。2009年には原作者、2016年には園長先生の声優が逝去している。原作者の登場など初期の定番ネタが封印されたりしつつ、新たな要素を取り入れては進化を続けているのが好ましい。それは2016年末時点の今も現在進行形で続いている。

 現存する24作品を全部観てみて、割と有意義な体験だったと満足。
 いつか誰かと酒の席で語り合いたいもんだ。
   

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