2016年6月13日月曜日

DENKI GROOVE THE MOVIE? —石野卓球とピエール瀧—


 電気グルーヴのドキュメンタリー映画。1989年のデビューから2014年のフジロック出演まで、石野卓球とピエール瀧の25年の歴史を追う。 

 まずは、1990年代以降の日本の音楽業界(の一部)の歴史の記録であるということ。個人的には、ロッキンオンの編集長のまとっている空気が『奥田民生になりたいボーイ…』の編集長の空気とまるかぶりだったのが印象的。東京の文科系のヒエラルキーの上位にいる人々の生態について想いを馳せた。東京でシノいでいる人特有のあの空気はなんなんだ。他にも、音楽やってなかったら社会に適合できなさそうな面子が次々インタビューに登場し、楽しそうに思い出を語る感じがなんだか羨ましい。

 そして勿論、石野卓球とピエール瀧。下品でキモい、だけど格好いい。いろいろなタブーを突き抜け、理性のブレーキから開放され、自由に遊んでいる。二人の振る舞いには、社会的制約にとらわれない無垢な幼児のような優美さが残る。少年のように輝きを追い続ける卓球と、独特の存在感を放ち続ける瀧。筆者が小学生の頃から20年以上、第一線で活躍しながら実験を繰り返し続けていると考えると凄いな。長年にわたり荒行に身を捧げる修験者のようで、その心境は計り知れない。
 
 クラブ文化やテクノ音楽には縁遠い筆者だが、観ていてなんだか訳の分からない力が湧いてきて、笑みがこぼれた。小さい悩みを吹き飛ばす力があるのは間違いない。キモくて格好いい大人になりたいもんだ。欺瞞を引き剥がせ。
   

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