逃げるは恥だが役に立つ
経済的に困窮した主人公(20代女)が恋愛に消極的な文科系男子(30代男)と契約結婚をする漫画。タイトルは結婚についてのハンガリーの諺から(らしい)。
基本は、実験的な共同生活を通して「結婚とは何か?」と問いかける。収入や支払いの共有や配偶者控除などの経済的な利点、家事の分担など実務的なメリットと、社会的な体裁や、うつろう恋愛感情の危うさに主人公達が思いを馳せる。雇用に関する社会学的な議論や草食男子の心理学的な考察も交えられる。
登場人物ではプライドの高さ故に30代まで童貞のままの平匡さん(夫)と美人なのに処女のまま閉経してしまった百合ちゃん(伯母)が重要。女目線で構築された男の造形は甘いと思うが(汚さが足りない)、それはそれで女流漫画家の様式美とも言える。平匡さんに萌える女性層がターゲットと思しい。連載誌はKissだし。
「金と仕事の問題もあるけど、やっぱ生身の人間が恋しいよね」という話になりつつある目下刊行中の5巻目。筆者はスキンシップが生み出すホルモン・オキシトシンに思いを馳せた。結婚はただの契約だが、共同生活することで情緒的交流が生まれる。
ちなみに、結婚は最強の自殺予防因子の一つである。
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