2017年9月9日土曜日

ブラックホークダウン


 1993年のソマリア内戦における米軍の歴史的敗北を描く戦争映画。2001年作品。

 基本的には、『地獄の黙示録』や『プラトーン』の系譜に連なる、情け容赦ない戦場の悲惨と軍人の男気を描く野郎のための映画である。上記の過去の作品と比べて撮影技術が発達しているため、戦場の光景が非常に高い水準で再現されている。市街地で乱戦となり、民兵の機関銃やRPG(ロケット式グレネード弾)が降り注ぎ、沢山の血が流れ、肉片が飛び、仲間が次々と死んでいく。戦場の生々しい映像が延々と続く。そういう映画である。

 特筆すべきははやりその臨場感で、観ている途中、緊張感と焦燥感がずっと続き、胸が焼け付くような苦しさがありながらも、なんとも形容しがたい高揚感があった。そしてテンポがいいのか、展開の妙か、145分の長尺だが観ていて飽きさせない(アカデミー賞の編集賞をとっている)。アメリカ流のナルシシズムが鼻につくシーンがしばしばあるため人によっては好き嫌いがありそうだが、実際に米軍視点の話なのでリアリティはあるだろう。全体として、過剰に心情に踏み込まない抑制の効いた描写には好感がもてる。

 戦争映画としては評判通り傑作である。戦争、軍人、男気に興味のある方に推奨。

 

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