シュピーゲルシリーズの最終章。
厚めの文庫で5冊(1、2上、2下、3上、3下)を気合いで読了。
とりあえず、ボリュームが凄まじい。長く、複雑で、言語オタクの冲方丁の偏執狂的所業ともいえる迷宮世界が広がっている。ミリタリ、数学、世界史、人種問題などの知識を雑多に詰め込み、アメリカのテレビドラマ業界や日本のアニメ業界が培ってきた手法を無尽蔵に繰り出して大長編に仕上げたという感がある。登場人物50人くらいの物語が入り乱れる様はちょっとしたプリキュアオールスターズだが、それをNHK大河ドラマ並みの規模でやるから読むのがたいへん厳しい…ことは最初に言及しておく。
内容については、オイレンのシリーズ、スプライトのシリーズが合流するシリーズの集大成であり、全ての謎が解決する仕掛けになっている。…が、複雑すぎて初読の筆者には理解不能なところが多いため、そのうちポツポツ再読していくことになるだろうと思われる。
そして、一番魅力的な存在は涼月だということ。各人の思惑が複雑に絡み合い、無辜の民が悲劇に見舞われるクソみたいな現実世界を生きていくうえで、一番必要なものを体現している。”Keep moving forward. Straigt forward.は”、読んでから、辛いときほど脳裏に浮かぶ。シンプルで、タフで、骨のある、窮地を切り拓くメンタリティ。
クドいし、長いし、難しい物語だが、読み込む価値はあるように思う。
合本の電子版を買って、時間をかけてまったりと検討する予定である。
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