2016年10月23日日曜日

こちら葛飾区亀有公園前派出所


 Kindleで最終巻の200巻を買って読んでみた。実家に住んでいた頃120巻くらいまでは買って読んでいたが、その後しばらくブランクがあってからの再読。最新刊の雰囲気はかつてと違うが、安定のクオリティで、結構面白かった。

 個人的には「こち亀に社会を学んだ人」っていうのが一定数いると思うので、そこに思いを馳せる。筆者の少年時代は親から子への情報伝達の場としての家庭が機能していなかったため、テレビや周囲の大人に学べない流行や常識の大部分はこち亀に学んだ。とりわけ、90年代の文化については結構なボリュームで両津と共に学んだ。この感覚、分かる人いないだろうか? 70年代~2010年代の各時代の日本の文化が詰まった歴史的資料になっているという意味で、単なるギャグ漫画として以上に存在価値は大きい。

 そして、両津勘吉は作者秋本治のオルター・エゴであるということ。冨樫義博にとっての『レベルE』の王子みたいに、井上武彦にとっての流川や桜木武蔵みたいに、控えめな現実の自分には成し得ない無茶苦茶を、変わりに成し遂げてくれる存在を創造する必然性があった。そして、それが多くの読者の共感を得たということ。石田衣良の『池袋ウエストゲートパーク』みたいに、流行ネタを何でもぶち込み、登場人物に私見を語らせる装置として機能していた点も大きい。ていうか、羨ましい。

 他、語りたいことがありすぎてまとまらないんだが、パッと思い出せる限り、カタ屋のゲーム、ボルボとシミュレーションする鬼が島攻略、あたりが最高に面白かった。30巻~90巻くらいが最も好きなゾーン。100巻以降の女ばっかりの世界にはあんまり愛着はないが、作者の人間性の変遷があったと思うと興味深い。年取ると己のエロに正直になるんだろう。それ以上でも以下でもあるまい。

 Kindleに全巻入れて持ち運べば一生楽しめそうなので検討中。
    

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