脚本家・宮藤官九郎の子育てエッセイ。
週刊文春で連載されていた第一子であるかんぱちゃん(女児)の誕生前から3歳になるまでの連載を単行本にしたもの。芸能系の固有名詞の散発、ユルい口調と冴えた考察の緩急、あけすけな下品さと温かな人情味の両立、など、ドラマや映画でお馴染みのクドカン節は健在。表紙をはじめ、我が家もお世話になってる絵本作家せなけいこ氏(『いやだいやだ』『ねないこだれだ』など)のフィーチャーぶりもいいセンス。
脚本家、映画監督、俳優業、バンド活動をこなす宮藤官九郎は膨大な情報とめまぐるしい時代の変化に暴露されながら生きる東京人の急先鋒だと思うんだが、そんな彼が抱く等身大の父親としての愛情と諦観の感覚、その味わいは何ものにも代え難く、一見考えなしに書き散らしているようで強烈で普遍的な個性と魅力がある。
過剰な自己陶酔に至らず、かといって無関心や無責任なわけでは決してない、自省による制御の効いた等身大の歓びがある。全国紙の出版なのにお父さんのAV鑑賞の事情を混ぜてくるあたり絶妙なバランス感覚を発揮している(いいのか?)。大人になってこの本を読むかんぱちゃんは、円熟した人間観をもつ一筋縄ではいかない成人女性になるだろう。
個人的には、自分の娘の成長過程と8割がたオーバーラップして感慨深かった。どこも似たようなことで一喜一憂するんだな、という確認になった。状況は違えど、子を持つ親の気持ちは概ね似たようなもんになるらしい。
何より軽やかで楽しそう。それが一番大事。
何より軽やかで楽しそう。それが一番大事。
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