大森望・日下三蔵編の2008年日本国内のベスト短編SFのアンソロジー。好きだったのは以下。
『ノックス・マシン』(法月綸太郎)
これが読みたいからこの本を買ったという作品その①。焦がれたのはNOVA2収録のおバカSF(バベルの牢獄)を読んだからだと思う。数理文学解析を専攻する中国人の研究者がタイムスリップしてミステリの「お約束」の謎に挑む話。ジャンルを問わず、超絶技巧を駆使して馬鹿をやる人が好きだ。
『時空争奪』(小林泰三)
時間の流れに関してSF的な考察に耽ることができる話。河川の譬えが秀逸。
『笑う闇』(堀晃)
死んだ相方をロボットで再現して漫才をする芸人の話。科学技術と人文科学的な文化の融合を味わえる、こういうSF作品が好き。
『From the Nothing, With Love.』(伊藤計劃)
その②。映画007シリーズのパロディを意識を扱う高純度のSFに高めている。実存を問う哲学的な要素を主題とした物語でありながら、魂が失われ形骸化したコンテンツだけが続いていくというシリーズ化への批評性も含んでいる(筆者はファイナルファンタジーシリーズを思い出した、あと最近のドラえもんの映画)。本書収録作では一番好き。
職場の昼休みに短編小説を読むと充実すると思っている最近。年度変わりの怒濤の雑務を越え、資格習得のためのレポート攻勢なども落ち着きつつあるので、鑑賞のペースを上げてます。余裕を失いがちな心に物語を。
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