双極性感情障害の分類で有名なGhaemi(ガミー)が、気分障害を持つリーダー達には危機的状況を乗り越えていく力があると主張する書。
ケネディ、リンカーン、キング、ガンディー、チャーチルなど、歴史に残る業績を残した偉大なリーダー達には当時の記録や証言を検証すると、うつ病や躁うつ病などの気分障害が強く疑われる人物が多く、それは偶然ではない。うつ状態は人にempathy(共感能力)とrealism(現実認識力)、躁状態はcreativity(創造性)とresilience(逆境を克服する力)を与えることが心理実験で繰り返し確認されているという。イラク戦争時のジョージ・W・ブッシュ(米大統領)やトニー・ブレア(英首相)は精神医学的に正常であるがゆえに、平時の判断には優れるが、戦争などの非常時での適切な判断が阻害されたと作者は主張する。
精神疾患=絶対悪、という偏見(専門的にはスティグマという)は組織を弱体化させるという意見には本ブログの筆者も賛成である。イカれた人達が世界を動かしていく、というのは衆目の意見が概ね一致するところでもあると思う。筆者は学生時代に「神の手」の異名を持つ某脳外科医の指導を受けた際、単極性の躁病を疑ったことを思い出した。
イカれた人が若い頃に苦労すると偉人になる、という割と人類普遍に通ずる法則があるらしい(勿論、生き抜くことができればの話だが)。読んで自分も頑張ろうと思った。
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