2015年3月30日月曜日

SFマガジン 700【国内篇】


 SFマガジン700号を記念して編まれたアンソロジーの日本編。編者の大森望による巻末の解説にもある通り、王道ばかりを集めたものではなく、有名な作家陣の単行本未出版の癖のある作品が多い。往年のSFファン向けのベクトルが強いが、筆者のようなSF歴の浅い読者には出逢いを提供してくれる端緒にもなる。

 好きだったのはノワールな感じの平井和正『虎は暗闇より』。あとは(好きかどうかは別として)円城塔、桜坂洋、野尻抱介あたりの作風に触れるきっかけになった。古参の筒井康隆や神林長平や大森望が推している鈴木いづみあたりも、一昔前の作品を読む現代文の授業のような感覚があった。

 ここまで書いて、円熟したSFファン向けのニッチな内容だった気がしてきた。今読んでる【海外編】の方が一般向けな気がする。というわけで、総合評価は「マニア向け」。
   

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