痛みと、その鎮痛の物語。
80年代のバブルの時代の東京。ホテトル嬢(デリヘル嬢)のユミは昼間はOL、夜は体を売って収入を得て暮らしている。マンションでワニを飼い、美味しいものを食べ、服や雑貨など欲しい物を買い、気ままに生きている。
作者がつけたキャッチコピーは「愛と資本主義の物語」。
性的放埒と浪費傾向、その根底にあるのは鎮痛を求める心性。
家族が壊れ、帰る場所を失い、それでも生きていくために。
ハッピーな気持ちでいるうちは、死にたくならなくて済む。
刹那的な快楽への志向は、痛みをかき消すための脳内麻薬を必要とするゆえの必然である。
悲愴感が無いのが、いっそう哀しい。
今まで読んだ岡崎京子作品ではこれが一番。
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