2013年2月11日月曜日

桜の森の満開の下・白痴


 表題作2編を読んだ。


『桜の森の満開の下』
 蒙昧な男と放埒な美人。
 美と狂気。色欲と嗜虐。
 幻想的なムード。
 桜は人を狂わせる。

『白痴』
 堕落論で論じたテーマを小説に。
 豚小屋、淫売、白痴、醜聞。
 退廃と肉欲が渦巻く、掃き溜めのような団地の戦時下の一幕。
 焼夷弾と火の海。
 散乱する死骸、逃げ惑う衆生、訪れる朝の静寂。
 美への憧憬と堕落による禊ぎ。
 こっちの方が好きかな。

 闇と底辺を知って初めて、人は至高への道筋を得る。
 腐臭の漂うグチャグチャの中に、本当のロックが潜んでる。
 綺麗事ばかりじゃ、弱り切った心を救えない。
 この人の主張はシンプルで一貫している。
   

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