2022年3月29日火曜日

リーガル・ハイ


 2012年のテレビドラマ。全11話。

 不器用だが真面目で良心的な新人弁護士の黛(新垣結衣)が、腕はいいが人格が破綻している弁護士の古美門(堺雅人)とコンビを組み、民事の事件に挑む。法廷が舞台で、基本は1話完結のコメディ。

 見どころは堺雅人の淀みない早口の口上。シリアスで武士然した『半沢直樹』とのギャップを見るのが楽しい。掛け合いのコメディ調を維持しつつ、テンポ良く法と人間の本質に切り込んでいくのが小気味良い。ガッキーが可愛く、音楽もオシャレ風で、まさしくテレビドラマの王道という感がある。

 法律の学習に関して言えば、民事訴訟の実務についてイメージが湧くのが有益。終盤に失速する感があるのが残念だが(特に絹美村の後半以降)、大衆向けの娯楽作品に多くを求めてはいけないのかもしれない。

 刑事の『HERO』、民事の『リーガルハイ』を押さえておけば、法律学習の下準備としては十分だろう。
   

2022年2月14日月曜日

HERO


 検察が主人公の2001年のテレビドラマ。全11話。
 法律の学習のために鑑賞。

 自ら現場へ出向き、自分の足で捜査する型破りな検事・久利生公平を木村拓哉が演じる。基本は1話解決で、東京で起きる刑事事件に挑む。検察事務官の雨宮(松たか子)との恋愛を描くウエイトも大きい。

 よかった点。
 松たか子が可愛い。宇多田の『Can you keep a secter?』がいい。
 よくなかった点。
 ギャグのテンポがイマイチ。フジっぽい美徳の押し付けがしばしばキツい。

 テレビドラマとしてはまあまあで、すごく面白いかというと抵抗はあるが、観ていて苦痛というほどではなかった。ただ、テレビ放映時の平均視聴率が30%を超えていたそうで、そこまでいくと、当時の日本の文化水準がやや心配になる内容ではあった。キムタク人気と宇多田の曲でブーストしている感はある。

 刑法や刑事訴訟法の勉強をしてからイメージを掴むのにはよかった。検察に送致後の業務の視覚的イメージを掴むのにあたり益はある。ストリートへの信仰、キムタクの雰囲気には時代の風を感じる。
   

2022年1月29日土曜日

劇場版 呪術廻戦 0


『呪術廻戦』の本編の前日譚である0巻の映画化。
2021年12月24日より公開中。

映画の内容は原作に忠実で、単行本で読んでいたが、あらためて映像で観直すと発見がある。乙骨憂太は、90年代から2000年代にかけてよく見たタイプの主人公だ。弱くてナヨっている少年が、場数を踏んで少しずつ成長していく。エヴァのシンジ君的でもあり、『からくりサーカス』の才賀勝あたりが近い。

本編連載前にできたプロトタイプである本作を観ると、作者の芥見下々の頭の中にあった「描きたい絵」の原型を見ることができる。本編の方が設定、キャラクターなど練られている感じがするが、これはこれで映画一本分の小品として収まりがいい。

全体に完成度が高かったが、戦闘シーンの作画、キングヌーの主題歌などが特によかった。心を揺さぶる力は『無限列車』の方が上ではある。だがまあ、観といてよかったと思えた。いい作品だと思う。
 

2022年1月15日土曜日

奮闘!びったれ


 元ヤクザのシングルファザー司法書士漫画。
 2013年-2014年に別冊ヤングチャンピオンで連載。全2巻。

 法律の学習用に購入。法運用の実際について、視覚的・物語的なイメージが獲得できる。簡易裁判所の少額訴訟、債務の強制執行など、法律ドラマの中で学べるのが有益。

 物語作品としての筋は、舞台は広島県で、司法書士という(物語作品としては)ニッチな職業を扱い、基本は1話完結の人情もの。法律だけでうまくいかない時は、暴力をちらつかせた威圧で乗り切る。この種の元祖は「サラリーマン金太郎」あたりか。テレビドラマ化、映画化もしているそうだし、「元ヤクザの◯◯」という設定の作品は安定感がある、という大人の思惑が現実化した感がある。娯楽作品として一定のクオリティに達しているが、どこか安易な二番煎じのテイストが混じるのは否めない。

 司法書士をはじめ、法曹を目指す人が読んでおいて損はない、と思われる。
  

2021年12月31日金曜日

narrative of the year 2021

1位 進撃の巨人(漫画、アニメ)
今年一番熱中した物語作品。豊穣で示唆に富む展開や設定が良かった。原作のラストをしっかり締めてくれたのがありがたい。

2位 吉原御免状(小説)
娯楽小説としての価値とともに、被差別民の歴史が背景にあるのが良い。隆慶一郎作品をもっと読みたい。

3位 オッドタクシー(アニメ)
コンパクトに観ることができるミステリー。オシャレ感もあり全体の調和が良い。

4位 三体 Ⅲ 死神永生(小説)
正直、最高傑作はⅡだと思うが、これはこれで傑作。

5位 アクティベイター(小説)
程よいボリュームと濃度だった。現代が舞台の冲方丁作品をもっと読みたい。

6位 命がけの証言(漫画)
出版の価値であれば今年No.1。目を逸らさず、1人でも多くの人に実態を知って欲しい。

7位 チェンソーマン(漫画)
アニメ公開決定済み。2022年はチェンソーマンの年になるだろう。

8位 ゴールデンカムイ(漫画)
北海道への経済効果は計り知れず。何度も読み込む価値がある。

疲れた頭に優しい漫画だった。

10位 渋江抽斎(史伝)
重厚で硬質な文章の味わい。
  

2021年12月30日木曜日

ゴールデンカムイ


 大正時代の北海道を舞台に冒険する漫画。既刊28巻。
 まわりに奨められて夏頃から読んでいた。

 日露戦争の帰還兵の杉本佐一は、北海道で砂金採掘をしている途中で、あるアイヌの男が大量の黄金を隠したという噂を聞く。網走監獄にいた「のっぺらぼう」という男が、黄金の在処を示す暗号として、囚人に刺青を掘ったという。杉本は隠された黄金を求める中で、アイヌ、帝国陸軍などの戦力が入り乱れ、北海道を舞台とする激しい戦いに巻き込まれていく。

 暗号解読を目指し、財宝を巡り幾つもの勢力が争いを繰り広げるという筋は、娯楽作品としては定番だが(思い浮かんだのは『クリプトノミコン』)、本作ではいくつもの独特のエッセンスが加わる。日露戦争前後の日本および北海道の歴史、自然描写、アイヌの民俗文化やグルメ、猟奇犯罪が組み合わさっていく。内容は重いようで、けっこうキツめの下ネタや、悪ノリが過ぎるおふざけが箸休めになる。

 『鬼滅の刃』なんかもそうだが、徹底した時代考証および文化風俗の交渉、キャラクターの背景の作り込みをしてから、長編の物語を書くのが最近のトレンドなのか。後半明らかになる、物語の伏線や、仕込みにも唸らされる。精緻に準備された舞台の上で、交錯する登場人物たちのドラマが際立つ。敵も味方も魅力的な人物が多いが、個人的に推すのは、優しそうな風貌でいて、実は最も冷徹でイカれてるウイルク。

 現在ヤングジャンプで連載中の物語も佳境で、2022年末頃には終わりそうだ。最後まで読むのが楽しみな漫画である。この時代に生きられる幸せを感じる。
 

2021年12月29日水曜日

ポリス・ストーリー/香港国際警察


ジャッキー・チェンの代表作の一つ。1985年作品。

1980年代の香港を舞台に、主人公のジャッキー・チェン扮する刑事が麻薬組織のボスを捕まえるために奮闘する話である。派手なアクションの大捕物、恋人や敵方の女との微妙な関係、仲間の裏切りや友情、などが含まれる。コメディ・色恋・身体能力・勧善懲悪を楽しめるザ・娯楽映画という風情である。

内容については、全体に粗雑な時代だったんだなあ、と感慨。性に関しても、人を侮辱する笑いに関しても、コンプライアンス的な縛りをほとんど感じさせず、良くも悪くも下品でおおらかである。1980年代は世界的にそんな雰囲気だったんだろう。危険を顧みず撮った派手なアクションは見応え抜群ではある。撮影中に大怪我が多発したのは確実だと思われるが、今だったら許容されるのだろうか。

古き良き香港映画の様式美を楽しめる、王道的映画であろうと思う。1980年代の時代の空気、香港の空気が保存されていることにも価値がある。深く考えずに観たが、思いのほか得るものは多かった。
   

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