デイヴィッド・フィンチャー監督の出世作。1995年作品。
10年ぶりくらいに再視聴。
陰鬱で湿気った、気の滅入るような都会が舞台のサイコホラーである。引退間近の老刑事(モーガン・フリーマン)と、血の気の多い新入り刑事(ブラッド・ピット)が、聖書の7つの大罪になぞらえて起こされる猟奇犯罪に挑む。
こういう猟奇犯罪ものは、90年代の流行の影響が見て取れる。ただし、安っぽい精神分析学的な心理面の深掘りをしないところに好感が持てる。過剰な説明をしないあたり、美学を感じる。トーンを抑えた色彩、低音のBGM、優しさのないひねくれた展開がデイヴィッド・フィンチャー節。2018年発売の日本語版DVDでは製作者コメンタリーも充実していて楽しい。
登場人物に容赦のない、過酷な展開が有名な作品だが、観終わったあとに誰かと感想を話し合いたくなるのは必至だろう。なぜこのような結末を選んだのか、犯人の動機の底にあるものはなんなのか、この作品は何を表象しているのか、そういうことをきっと話したくなる。人の感性に深みを与える、ダークなエンターテイメントの傑作である。
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