実際に起きた事件に基づくという2013年作品。
同じ監督(白石和彌、北海道出身)の『日本で一番悪い奴ら』を観た時もマーティン・スコセッシの匂いを感じたが、本作品ではもっと露骨。『グッドフェローズ』へのオマージュと思しき構成(冒頭のシーンの使い方)、手ぶれするカメラワークが生む臨場感と不安感、スタイリッシュな音楽とバイオレンス、サクサクしたテンポ、など。きっとスコセッシ作品が好きなんだろう。
…が、それはエッセンスに過ぎず、本作には独立した魅力がある。金のために非道な殺人を繰り返す集団、目を背けたくなる現実からの逃避のために代用される主人公の記者の正義感。人間の闇を覗くときに感じる後ろ暗い快楽の存在に妻が言及するシーンは胸に迫る。何より、記者を演じる山田孝之の虚ろな目が主題を絶妙に表現している。
そして、ピエール瀧とリリーフランキーを筆頭に登場する役者のオーラが非常にいい。
総合的に、映画として単純に面白かった。こういう良質な作品をもっと観たい。
この監督には今後とも期待。
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