2017年3月12日日曜日

アオアシ


 愛媛の中学生が東京のユースチームに入ってプロを目指すサッカー漫画。既刊8巻。

 プロサッカーチームの下部組織であるユースのチーム経営に視点を向けつつ、サッカー選手の個人の技術や組織的な戦術に焦点を当てている。主人公の青井葦人(あおいあしと)は才能任せな田舎の天才肌という感じだが、それだけでは組織と理論で戦う近代サッカーに馴染めない、というのがよく分かる。

 作風として、家族の絆や恋愛模様など、浪花節な人間関係が少し「くさい」…が質が悪いわけではない(小学館っぽいセンスなので好みの問題)。キャラクターの造型はイマイチ深みが足りなくて印象に残らない人が多い…が今後掘り下げられていく気もする。阿久津の嫌な先輩っぷりなどはいいセンス。

 まとめると、『ジャイアントキリング』的な経営視点とあだち充的なサンデー漫画のエッセンスが入った技術重視のサッカー漫画、って感じだろうか。『スラムダンク』など過去の名作漫画の影響もはっきりしているように思う(義経の深津×沢北なデザインよ)。漫画業界の先人の遺産を継承し、若者たちのチャラさと理論的基盤を加えた2010年代ヴァージョンのサッカー漫画といえるだろう。

 サッカーを見る眼が養われそうだし、単純に読んでいて面白いスポーツ漫画している。
 続きに期待。
   

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