失職中の20代後半の男が祖父と同居する話。
今年の芥川賞受賞作。ピース又吉じゃない方。
就職活動中の主人公とデイサービスに通う祖父という、生を謳歌せんと奮起する若者と死に向かい衰えゆく老人との対比や化学反応という主題が軸にある。が、そんな純文学的な理屈はさておき、ドライなクソ野郎の主人公が目指す自己完結型の世界が面白い。泣き言を漏らす老人を見下し、強い決意をもってオナニーと筋トレに励んで己を高める若き魂が迷走する姿に、己を重ね身につまされる男子は多いはずだ。たぶん。
テーマに高齢者介護と20代の若者の就職という旬の問題を扱うあたり現代文学。作者の日本語があまりうまくないんじゃないかと思われる表現が多々あるが、勢いで面白く読めるので良しとしたい。
普通に面白いので人には薦めたい。人間なんてこんなもんだ、という現代文学。
…とここまで書いてアマゾンレビューを読んだ所、もっと深い考察があって「なるほどね!」と思った。初読でも面白いけど、吟味しながら再読しても楽しめそう。きっといい本なんだろう。
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