2013年9月8日日曜日

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか



 冷戦時の米露間で、狂気の空軍司令官の独断で核戦争が起こるという話。
 英国の空軍将校、米大統領、核専門の科学者を同じ俳優(ピーター・セラーズ)が一人三役で演じている。
 風刺がメインで、低予算な雰囲気の1964年作品。(キューバ危機の2年後だ)

 高校生の頃に観たときは何が面白いんだかさっぱり分からなかったが、10年後の今観ると結構楽しめたのは近現代史の背景を以前より理解できたからか。伊藤計劃の評論によると、これはつまり『discommunicationが生み出す破局』というキューブリック作品に通底するテーマの作品らしい。皮肉たっぷりのブラック・コメディであり、悪趣味な警告であるが、これは深刻な社会危機をシリアスに伝えるよりも有効な表現だというキューブリックの判断で、原作を大きく逸脱しているそう。

 邦題のセンスもいい。
 出番は少ないが、Dr.Strangeloveの演技と台詞がハイライト。
   

0 件のコメント:

コメントを投稿

ブログ アーカイブ