2012年10月28日日曜日

光圀伝

  
 血の熱く滾る男の一代記。

 「水戸黄門」の漫遊譚で親しまれる水戸徳川の光圀公。後世流布された穏やかなイメージとは異なり、激情家で、己の生の全てをかけて詩歌、史書編纂、治世に取り組んだ。その闊達な幼少期の日々から、晩年の諦観に至るまでの軌跡が描かれる。

 侠気があり、浪漫があり、愛がある。読耕斎、泰姫、保科正之、武蔵、沢庵、安井算哲、朱舜水、佐々など、登場人物も底知れぬ魅力をたたえた者ばかり。
 人が生きて、そこにいた。
 その証左こそが史書であり、今もそこに在るかの如く記すことが、亡き者への最大級の弔いであり、見果てぬ大義を未来に託す願いとなる。
 
 今年読んだ中で最高の1冊。
   

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