碁打ちの思考経路とはどのようなものか、と考え、タイトルのみを見て衝動買いした本。買ったのは電子書籍版だが、底本の書籍は2008年発売。
作者の依田紀基氏は、1970年生まれ、北海道の岩見沢市出身。10代でプロデビューした俊才であったが、若くして女やギャンブルに溺れ、おおいに人生を寄り道している。これを書いている2020年4月現在でも現役だが、twitter上で日本棋院の執行部を批難したことが問題視され、6ヶ月間の公式戦禁止処分を受けている。容姿は強面だが、精神にも自由さが残っているのか。無頼で磊落なようで、それでいて繊細な感性が内には同居する。厳しい勝負の世界で生き続ける、強き者のメンタリティが彼には学べる。
本書では彼の生活史や、囲碁観、人生観が語られる。ある種のステレオタイプな構成ではあるが、一つの道に徹して生きた人間の含蓄がある。囲碁で勝ち続けるための8つのK(感動、繰り返し、根本から考える、工夫を加える、感謝、健康、根気、虚仮の一念)などは、あらゆる道に通じる。バスケでも、精神医学でもそうだろう。
気張らず買って、読んで良かったと思える本。シンプルな良著。
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