アカデミー賞で話題の2019年作品。
アマゾンプライムでレンタルできたため鑑賞。
基本は、いわゆる「無敵の人」の話だった。40代、貧困層、独身、心身に異常をきたした母親を介護し、自身も精神を病み、社会福祉サービスを必要としている。アメリカの格差社会の下層。何も失う者のない男の話。悲惨な現実を直視せず、空想で己を慰めて生きている。アカデミー作品賞を受賞した『パラサイト』もそうらしいが、世界中で格差社会がトピックのようである。
主人公(ジョーカー)を演じるホアキン・フェニックスの演技は圧巻だが、何より全体に構成の妙が光る。どこまでが空想で、どこまでが現実なのかの境目が曖昧で、それを考えるのが、鑑賞後の楽しみにもなる。確認のために何度も観たくなる作品だろう。抑えの利いた色調や音楽も、絶望に覆われた町の空気感に見事にマッチしている。
美術、テーマ、演技等の総合力が高い大人の娯楽映画だろう。観てよかった。
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