Disney THEATERにて鑑賞その3。音楽家に憧れるメキシコの少年が死後の国を冒険する話。2017年。ピクサー名義、ディズニー配給の作品(ほぼ同じ会社だが名義で微妙に違う)。
テーマとしては、伊藤計劃の『メタルギアソリッド ガンズオブザパトリオット』を思い出したが、「人が他者の物語を語り継ぐことの意味」みたいなものだと思う。人は肉体的に一度死に、存在を忘れられることで二度死ぬ。その悲しさを知っているから、民衆は死者の写真を飾り、物語を語り継ぐ。
そしてビジュアル面、妖しげで壮麗な死後の国の世界観がいい。主人公の少年ミゲルが暮らす街、死後の世界の色彩豊かな住居、そこに住まう人々の息づかい、どこをとってもメキシコらしい空気感が漂う。金銭的な豊かさはなくとも、魂の安楽に必要なのは音楽と家族。そんな価値観もまたメキシカン。
脚本はこれまた優等生。伏線の回収やミスリードなど、技巧的に見事すぎて逆に物足りなさが…と感じてしまう私はひねくれ者なのかもしれないが、特に文句のつけようながない一級品の出来である。ピクサーの安定感と凄みを感じる。そりゃアカデミー賞もとりますわ、と。
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