忘年会の3次会で「とにかく読んでみてください」と後輩の研修医に手渡されたので読んだ本。薄い文庫本で、予備知識一切なく読んでみた。リチャード・ブローティガン著。初出は1968年。
果物のスイカの糖で衣服や戸板などを作っている小さな村の話だ。そこで若い青年と思われる主人公の男の独白調で、穏やかな村の暮らしや事件が描写される。鱒の孵化場、言葉を話す虎、辺境の「忘れられた世界」の入り口で粗製のウィスキーを飲んで暮らすならず者達…など、詩的で幻想的な世界の物語が描かれる。
思い出したのはサバイバル漫画の『自殺島』とドストエフスキーの『悪霊』。あとは村上春樹の世界が近い。表面的な穏やかさ、隣り合わせの残虐さ、トラウマと倦怠を慰撫する性愛と食事。ジョン・アーヴィングも近いな。
想定外に面白かった。サンキュー。
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