少女娼婦のバロットがネズミ型万能兵器のウフコックらと共に欲望と悪徳が渦巻く産業都市(マルドゥック・シティ)の暗部と戦う。かつて都市の病理に踏みにじられ、事故に見せかけて殺されかけたバロットは再び生きるために、軍事技術によって生み出され、戦争の終結によって廃棄の寸前に追い込まれたウフコックは己の有用性を証明するために。作者の冲方丁曰く「少女と敵と武器についての物語」。
ジャンルとしてはSF小説。扱うテーマは実存。特に後半のカジノシーンは圧巻であり、その展開は鳥肌もの。衒学的な会話もいい。そして、文庫版の作者あとがきや鏡明の解説にも物語への愛が溢れている。
筆者が大学生の時に出会った、最も好きな物語の一つである。不適応者が掴む適応の物語。込められた作者の情熱や思念が、読む者に力を与える。ぜひ多くの人に読んで欲しい。
0 件のコメント:
コメントを投稿