2019年7月25日木曜日

トイ・ストーリー

  
 今更ながら、我が家にDisney THEATERが導入されたのを機に初めて視聴。1995年作品。

 ずっと気にはなっていたが、なかなか観るチャンスがなかった。スティーブ・ジョブズの信奉者でもある私は、彼がしばしば言及するピクサー作品のマインドについての予備知識はあった。児童向け作品であろうと妥協せず、コンセプトを徹底的に練り、娯楽性とともに革新性と普遍性を追求する製作陣の熱い魂と高い技術によって、その時点における最高の作品を実現したのだろう…と予想して観始めた。

 ふつうに面白かった、というのがまずは最初の感想。娘の世話もそっちのけに展開に見入ってしまった。少し時間を置いて、本作品の歴史的意義に関して考えたのだが、これはハリウッドが培ってきたエンターテイメント映画の黄金律と最新のコンピューター技術の融合だった、というのが重要だったと思われる。手書きではなく、コンピューターにより、子供も大人も魅了する質の高い映像作品が作られることを世に示したのは、90年代当時においては、新時代の到来を告げる衝撃的な事件だったんだろう。今となってはフルCGのアニメーションは当たり前だが、その草分け的な最初の作品が圧倒的なクオリティだったのは特筆すべき点だろう。

 お調子者の西部劇のヒーローであるウッディと、最新のデザインながら柔軟性に欠けるバズ・ライトイヤー。旧と新、柔と剛、新参者への反目と、冒険を通して醸成される信頼関係。脚本の教科書に載りそうな模範的なプロットだが、時代の変化における混乱と適応など、人間社会における普遍的事象をおもちゃの世界を用いて描いた戯画になっている。基本設定は子供向けながら、随所に思想性を感じさせ、製作者の「哲学」が感じられる点が、批評家筋にもウケる理由だろう。パソコンやインターネットによる技術革新に直面した大多数の大人は、バズ・ライトイヤーに直面したウッディと似たような反応を示しただろう。

 観る価値のあるシリーズだとわかったので、続きも観たくなった。
   

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