2018年6月21日木曜日

クラッシュ


 感想:『マグノリア』・『スリービルボード』系だ…。

 『ミリオンダラーベイビー』を書いたポール・ハギス初監督の2003年作品。2002年頃のロサンゼルスを舞台に、憎しみが満ちた空気の中で暮らす人々の愛憎を描く群像劇である。アカデミー作品賞作品ということで期待して観たが、ジャンルとして確立されつつある様式だとつい頭で考えてしまい、素直に感動できなかったのも事実。質の高い作品ではあると思うのだが、もう少し新奇な要素が欲しくなるのは私の心がひねくれているのか。

 この手法を使えば『釧路』とか『室蘭』とか、そういう作品が量産できそうだ。
 憎しみは連鎖する。そして、赦しや愛も。
    

2018年6月14日木曜日

ハドソン川の奇跡


 実話に基づく2016年作品。
 クリント・イーストウッド監督。トム・ハンクス主演。

 舞台は「ハドソン川の奇跡」(The miracle of Hadson)として知られる2008年の飛行機の不時着事故のあとの世界。主人公サレンバーグ(原題:Sullyは彼のニックネーム)は1人の犠牲者も出さずに大型旅客機の着水を成功させたパイロットとして、その判断と技術に対し世界中のメディアから称賛を受けていた。だが一方で、川への着水を選んだ判断の正当性について事故の調査委員会の厳しい追及が続いていた。彼は喧騒と追及の日々の中で「あの判断は本当に正しかったのか?」という苦悩に苛まれ続ける。

 本作のテーマは「英雄の条件」だろうか。どのような人物が真に英雄として讃えられるべきか。静かに男を張るヒーローのダンディズム。一貫してイーストウッドが描こうと求め続ける英雄(ヒーロー)の像が示されている。DVD特典のドキュメンタリーを観ると、いっそう理解が深まってよい。幼少期からのサレンバーグの生き様を通して知ることで、緊急時の判断が決して偶然の産物ではないことがわかる。

 これはかなりよくて、生涯のベストムービーのリストに入れたい。題材の選択、潔い構成、飽きさせない展開、程よい表現の抑制、などイーストウッドのセンスがいい感じに出ている作品だと思う。こういう映画を観て生きていきたい。
   

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