2014年2月28日金曜日

キングダム


 紀元前250年頃の中国の戦国時代、秦の始皇帝が史上初の中華統一を成し遂げる話。秦の王族である政(せい)と、「天下の大将軍」を目指す若者である信(しん)が主人公。

 北方謙三『水滸伝』や三国志のような血湧き肉躍る戦記が映像化されている。規格外の豪傑達が野望や信念を胸に、命をかけて戦いまくる。容赦ない知略と暴力の真剣勝負が咲き乱れ、ひたすら胸が熱くなる。

 大きな戦に勝つと、GIANT KILLINGスラムダンクに近い感動がある。多大な犠牲の上に国の力が一つになり、チームで勝利を摑み取る感じ。

 女性の書き分けが乏しい気がするが、そこはあまり重要ではない。強者のオーラの勉強にもなる。the 男の娯楽という作品。
   

2014年2月12日水曜日

海賊とよばれた男


 出光興産の創業者である出光佐三をモデルにした半伝記小説。

 主人公国岡鐵三は第二次世界大戦の敗戦後、焼け野原となった東京で仕事も資産も失ったにも関わらず1000人近い国岡商店の社員を一人も馘首(クビ)にせず、復興のために経営を再開すること決意した。民間の一企業でありながら官僚組織や石油を扱う外資の多国籍企業(メジャー)など巨大な敵と何度ともなく渡り合い、幾多の困難に直面しながらも、企業の利益より日本国の復興や人間の尊重を貫いた。不屈の闘志と揺るがない信念を持って戦い続けた男の記録である。

 2011年の東日本大震災を経験し、意気消沈した日本人に誇りと勇気を与えたいと作者の百田尚樹が一念発起して半年かけて書き下ろしたそう。脚色もあるんだろうが、かつて実在したという登場人物たちが皆、立派すぎて驚く。国岡鐵三とその仲間達のひたむきさや高潔さに胸が熱くなり、むしろ、日和見や妥協に逃げてしまう自分や現代人の脆弱さに気恥ずかしくなる。大義のために滅私を貫く人間の美しさを描くのが氏の作風のようである。

 大事を為した風雲児の痛快な一代記であるが、永遠の0と同じく近代史の教養の書でもある。道徳、侠気、客観的な歴史的事実の把握など、現代の日本に足りなかったものがつまっている。
   

2014年2月10日月曜日

ウルフ・オブ・ウォールストリート


 株屋が成り上がって破滅する話。実在の人物ジョーダン・ベルフォートの回想に基づいている。

 ニューヨークのウォール街で証券会社を旗揚げした主人公とその一味が、金を稼ぎまくって、薬と女で遊びまくる。正直、金融屋というのは何も生み出していないのに金儲けをしている、という悪いイメージが強かったが、対立軸として描かれる多くの中流~下層の人間の垢抜けない生活描写との対比が際立ち、その正当性に関して本当に考えさせられる。欲望に正直になり、生きる歓びを屈託なく追求し享受することを選んだ人間を盲目的に批難するべきか?という。「下品な拝金主義」や「心を失った欲望の奴隷」と鼻白んで罵るのは簡単だが、そんな風に目を逸らしていては、この世界を動かす力動の本質を理解できない。

 私は人生における快楽とaddiction(依存症)の物語だと思って観ていた。trainspotting酒とバラの日々とダブる場面が多々ある。孤独や虚無感を紛らわす鎮痛剤としてのマネーゲームと放蕩。報酬系の投射は高みへと昇るための駆動力にもなるし、破滅へと導く阿片にもなる。

 円熟味のあるレオナルド・ディカプリオの演技が実にいい。桁外れに下品で、興奮と寂しさがあり、静かに残るものがある。179分の長尺も苦にならない、かなりいい感じの娯楽作品だと思う。
   

2014年2月3日月曜日

ゼロ・グラビティ


 二夜連続で極限の精神状態を描く作品を観たが、こちらの方があらゆる面において桁違い。宇宙空間に放り出された宇宙飛行士の話。その孤独、恐怖、悲しみ。空気も重力もない宇宙空間の静寂と暴力が迫ってくる。

 無重力空間を表現した映像美が圧巻だが、絶望的な状況下での人間ドラマとしても比類ない。91分の作品だが、本当に息もつかせぬほど引き込まれ、生きるために戦う姿や放つ言葉が痛切に響く。ジョージ・クルーニーとサンドラ・ブロックの演技も素晴らしい。

 間違いなく今年観た映画のナンバーワンになるだろう。まだ2月だが。
 3Dで観られなかったのが悔やまれる。
     

2014年2月2日日曜日

127時間


 渓谷の散策中に岩に腕を挟まれ、127時間動けなくなった男の話。
 実話に基づいているそう。

 孤独な環境下での極限の精神状態の話がメインだが、雄大な渓谷やリア充白人のアウトドアなライフスタイルが刺激的。挿入する音楽と映像で語り、汚さと官能を織り交ぜるダニー・ボイルのセンスも好き。94分と短くまとまっているのもいい感じ。

 いい映画だ。
     

2014年2月1日土曜日

クレイマー、クレイマー


 子連れの夫婦の離婚騒動の話。メリル・ストリープ扮する母親もいるが、メインは父親。女性の社会進出が今ほど促進される前の1970年代アメリカの話。

 夫婦共に批難されるべき点は多々あれど、子供を愛する気持ちには偽りない。人情の機微をさりげなくたたえ、過剰にならない名優たちの演技は評価され、アカデミー主演男優賞(ダスティン・ホフマン)、助演女優賞(メリル・ストリープ)を受賞している。

 大人が観るとじわっとくる、いい話。
   

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