2019年4月28日日曜日

Michal Jordan: His Airness


 NBAの歴史に燦然と名を残すスーパースター、マイケル・ジョーダンのドキュメンタリー。1999年作品。

 凄すぎて、何から語ればいいか分からないくらい凄い存在であったということが、この作品を観ればわかる。超人的なバスケットボールのプレイもさることながら、顔立ち、表情、体型、立ち居振る舞いなど、全てが圧倒的にクールで、彼が生み出した1990年代のアメリカの熱狂が画面から伝わってくる。

 NBAのリーグ3連覇(スリーピート)を成し遂げ、モチベーションを失って一度コートを去ったが、そこから復帰して再度のスリーピートを果たしたという業績も圧巻である。特に最後のシーズンの最終試合でユタ・ジャズを相手に放ったラストショットのシーンには映画的な荘厳さがある。あまりにも完璧で、その生涯は映画よりも凄いとしかいいようがない。ラリー・バードに「彼はマイケル・ジョーダンの姿をした神だ」と評されてしまうのもうなずける。

 久しぶりに観直したが、あまりにテンションが上がるのでまた繰り返し観ようと思う。ジョーダンの熱狂とともに時代を生きたアメリカ市民は幸せだったろうな、と思った。
    

2019年4月20日土曜日

50mm THE TAKASHIRO PICTURE NEWS


 最近心酔している高城剛の作った紙媒体の雑誌である。2018年5月の発刊で、中国人のレンタル着物ビジネスが席巻する京都、大麻解禁前夜のカナダのケロウナ、移民問題や政治的新興勢力の躍進で混迷と混沌の中にあるヨーロッパ、など、彼が世界中を旅しながら撮った写真と、時代を象徴するそのスポットについての説明と文章が添えてある。

 コンセプトは巻頭と巻末の解説に詳しいが、デジタルなコンテンツが溢れるこの時代に敢えて「紙の雑誌」を作ることに意味があるという。商業主義的な意図に汚された情報のキュレーションではなく、個人の目を通して見える世界の記録であり、リアルな世界の潮流や現場の皮膚感覚がページをめくるごとに体験できる。今読んでも楽しいが、5年後、10年後に読んでもきっと楽しいだろう。時間的、空間的いずれの意味においてもエッジィなスポットを切り取った貴重な一次資料となっており、何より読み物として単純に面白い。

 旅を続けながら、考えを深め、自分のやりたい方法で何かを創造する。同じような生き方をしたい願望が自分の中にある。自分はこの先どんなふうに生きようか最近よく考える。写真撮影の技術もそのうち追求するかもしれない。
   

2019年4月16日火曜日

傷心的人別聽慢歌


 最近、外国語の習得に有用なのは、その言語の文化圏の流行歌を聴くことだと気づき、中国語の学習のために辿り着いたのが2013年発表のこの歌である。

 五月天(メイデイ)は台湾の国民的ロックバンドで、米CNNに「アジアのビートルズ」と評されるほど中国語圏で圧倒的な人気を誇る。私が彼らの曲を聴いて、歌詞の内容も調べていて思ったのは、「台湾のミスチル」という表現が適切なのではないかということ。大衆受けするロックバンドでありつつ、巨大な社会装置となっている感、人生に役立ちそうないいこと言ってる感は、ミスチルのそれに近い。

 この曲、傷心的人別聽慢歌(シャンシンダォレェンビェティンマングォ)の日本語訳は「悲しんでいる人はバラードを聴くなよ」。ラウドなギターリフが主体の尖ったサウンドに乗せた歌詞は傷ついた人たちに向けた魂の復活を鼓舞する内容で、聴くと生きる力が湧いてくる。YouTubeで観られるMVにおいても、家庭、学校、会社、病気などで傷ついた個人が音楽を聴いて再び立ち上がる、というような内容になっている。

 かくいう私も、この曲を聴いて耳から離れなくなり、「ドンツ、ドンツ、ドンツ、ドンツ…!」と動き出したくなった。誰も傷つけない、ポジティブな意匠に満ちた流行歌。こういう不特定多数の人に救いや歓びを与える文化は尊いものだと思う。MVを観て、コカコーラも飲みたくなった。

参考
   

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