2015年4月23日木曜日

みなさん、さようなら


 無茶苦茶やって生きてきた父親が死ぬ話。

 カナダのモントリオールに行くことになったので予習のために観た映画だが、モントリオールの街はほとんど出なかった。2003年のカナダ映画で、非ハリウッドの低予算な人間ドラマ。アカデミー賞外国語映画賞受賞作。

 無類の女好きで左翼思想にかぶれた大学教授の父親は、自分勝手で横暴な男だが教養と人間味に溢れ、変人の友人達に愛されている。気ままに生きてきた父親に複雑な感情を抱き、疎遠だった主人公が死の間際に病院を訪れ、その最期の日々を共に過ごす。

 原題の直訳は「蛮族の侵入」。9.11のテロのシーンや世界史上の戦争犯罪などの問題にも言及する場面がしばしば挿入され、陰惨な暴力や死と、官能的な性愛や温かい親愛の情の対比が際立つ。舞台となっているモントリオールの生活信条”Joie de vibre”(生きる歓びの意のフランス語。英語でJoy of life )というのが作品の底にある主題に思える。

 綺麗事じゃない、生々しい死の恐怖と生きる歓びの映画。結構好きです。
    

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