2019年5月16日木曜日

映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~


 同じく26作目。2018年作品。

 これは久々のヒット。テーマも雰囲気も良い。往年のカンフー映画の空気をふんだんに取り込み、おバカなクレしん映画をやりつつも、正義とは何かを深く問うている。マサオくんに焦点を当てているという新規性も良い。凡庸であることへの哲学的な思弁と、人間賛歌がほどよいさじ加減で込められている。

 笑って、考え、鑑賞後感も心地よい。ラストの展開は個人的にはシリーズ屈指。トータルでは6位くらいか。
    

映画クレヨンしんちゃん 襲来!! 宇宙人シリリ


 Amazonのプライムで観た久しぶりのクレしん映画。25作目。2017年作品。

 野原家に宇宙船が不時着し、そこに乗っていた宇宙人の子供としんのすけ一行の逃避行。少年の成長、父と子の関係性、などの要素を込めつつ、基本はエンターテイメント。説教じみた思想的な要素の少なめな作品であろうと思う。異文化の衝突という内容から予想されるお約束な展開は、特に裏切られることはない。

 年々制約がきつくなる中で、精一杯の下品さを表現するよう頑張っているなあ、というのがリアルな感想。「ケツだけ星人」はもう言っちゃいけないワードらしい。勿論、「象さん」の露出もなしだ。そのへんの製作陣の苦労が観ていて目に浮かぶ。

 私的ランキングでは13位くらい。悪くはないが、特段、惹かれることもない。
   

2019年5月10日金曜日

21世紀の(匿名)ハローワーク


 高城剛が政治家秘書、美容外科医、教頭、Airbnbホスト、FXトレーダー、小児科医の6つの職種の人物に取材し、匿名インタビューで業界の実情や本音を語ってもらうという企画本。副題は「人には理解されないもうひとつの職業図鑑」2018年5月に電子ブックで刊行。

 高城剛はきっとこういうことを延々と行なっているんだろうな、という内容で、インターネットじゃ掴めない業界の内部の空気や感性に触れることができる。このシリーズだけで無限に続編が刊行できそうだ。宮内庁職員、税理士、コカインの売人、蕎麦農家、占い師、アパレル店員、とか。自分の専門分野を持つとともに、こういうインスピレーションを得るための軽い出会いが大事なんだと思う。生産性を保つために。
  

2019年5月6日月曜日

今こそ、韓国に謝ろう そして、「さらば」と言おう


 特定勢力に「極右作家」のレッテルを貼られて生きる百田尚樹が韓国と日本の歴史、特に西暦1910年(明治43年)からの35年にわたる日韓併合にまつわる史実を語る本である。その内容はまぎれもない韓国に対するヘイト本である…が、ヘイトな成分をできる限り排除し、低姿勢な語り口で歴史的事実を淡々と列挙するスタイルをとっており、結果として皮肉の効いた風刺本になっている。

 はっきり言ってしまうと、読めば笑える日本人が多いだろう。しかし、大きい声で「この本を読んだ」と言えば面倒くさい人に目をつけられるだろうし、「面白かった」とTwitterで評したら炎上は必至だろう。そのあたり、このような手法をとって歴史的事実を訴えなければならない切迫した日本国内の言論界の状況を感じるべきである。過去数十年にわたり韓国が日本に続ける賠償金の要求(たかり)、剽窃(パクリ)、被害の捏造(でっちあげ)などの所業について、その実態を知れば知るほどに、陰性の感情(ヘイト)を抱くなと言う方が無茶な話ではあるが、現在の日本では表立って本音を口にすると社会的に損失を被るため、怖くて誰も口に出せない状況になっている。そんな本音とポリティカルコレクトネス的な諸問題を全体的にうまく処理すると、このようなスタイルになったと考えられる(攻めすぎではあるが)。

 誤解を避けるために付記すると、韓国人の中にも賢明で感じの良い人は沢山いるし、日本人の中にも軽蔑すべき人間は沢山いる。私個人は人種で差別するつもりはない。だが、国家レベルであれ、個人レベルであれ、嫌な相手の嫌な部分の仕組みは理解しておいた方が、現実的な被害をおさえるためには有効であろう。だから韓国という国家や韓国籍の人間の行動原理に不可解さを感じた人には、この本を勧める。説明が腑に落ち、氷解する疑問もあるだろう。
   

2019年4月28日日曜日

Michal Jordan: His Airness


 NBAの歴史に燦然と名を残すスーパースター、マイケル・ジョーダンのドキュメンタリー。1999年作品。

 凄すぎて、何から語ればいいか分からないくらい凄い存在であったということが、この作品を観ればわかる。超人的なバスケットボールのプレイもさることながら、顔立ち、表情、体型、立ち居振る舞いなど、全てが圧倒的にクールで、彼が生み出した1990年代のアメリカの熱狂が画面から伝わってくる。

 NBAのリーグ3連覇(スリーピート)を成し遂げ、モチベーションを失って一度コートを去ったが、そこから復帰して再度のスリーピートを果たしたという業績も圧巻である。特に最後のシーズンの最終試合でユタ・ジャズを相手に放ったラストショットのシーンには映画的な荘厳さがある。あまりにも完璧で、その生涯は映画よりも凄いとしかいいようがない。ラリー・バードに「彼はマイケル・ジョーダンの姿をした神だ」と評されてしまうのもうなずける。

 久しぶりに観直したが、あまりにテンションが上がるのでまた繰り返し観ようと思う。ジョーダンの熱狂とともに時代を生きたアメリカ市民は幸せだったろうな、と思った。
    

2019年4月20日土曜日

50mm THE TAKASHIRO PICTURE NEWS


 最近心酔している高城剛の作った紙媒体の雑誌である。2018年5月の発刊で、中国人のレンタル着物ビジネスが席巻する京都、大麻解禁前夜のカナダのケロウナ、移民問題や政治的新興勢力の躍進で混迷と混沌の中にあるヨーロッパ、など、彼が世界中を旅しながら撮った写真と、時代を象徴するそのスポットについての説明と文章が添えてある。

 コンセプトは巻頭と巻末の解説に詳しいが、デジタルなコンテンツが溢れるこの時代に敢えて「紙の雑誌」を作ることに意味があるという。商業主義的な意図に汚された情報のキュレーションではなく、個人の目を通して見える世界の記録であり、リアルな世界の潮流や現場の皮膚感覚がページをめくるごとに体験できる。今読んでも楽しいが、5年後、10年後に読んでもきっと楽しいだろう。時間的、空間的いずれの意味においてもエッジィなスポットを切り取った貴重な一次資料となっており、何より読み物として単純に面白い。

 旅を続けながら、考えを深め、自分のやりたい方法で何かを創造する。同じような生き方をしたい願望が自分の中にある。自分はこの先どんなふうに生きようか最近よく考える。写真撮影の技術もそのうち追求するかもしれない。
   

2019年4月16日火曜日

傷心的人別聽慢歌


 最近、外国語の習得に有用なのは、その言語の文化圏の流行歌を聴くことだと気づき、中国語の学習のために辿り着いたのが2013年発表のこの歌である。

 五月天(メイデイ)は台湾の国民的ロックバンドで、米CNNに「アジアのビートルズ」と評されるほど中国語圏で圧倒的な人気を誇る。私が彼らの曲を聴いて、歌詞の内容も調べていて思ったのは、「台湾のミスチル」という表現が適切なのではないかということ。大衆受けするロックバンドでありつつ、巨大な社会装置となっている感、人生に役立ちそうないいこと言ってる感は、ミスチルのそれに近い。

 この曲、傷心的人別聽慢歌(シャンシンダォレェンビェティンマングォ)の日本語訳は「悲しんでいる人はバラードを聴くなよ」。ラウドなギターリフが主体の尖ったサウンドに乗せた歌詞は傷ついた人たちに向けた魂の復活を鼓舞する内容で、聴くと生きる力が湧いてくる。YouTubeで観られるMVにおいても、家庭、学校、会社、病気などで傷ついた個人が音楽を聴いて再び立ち上がる、というような内容になっている。

 かくいう私も、この曲を聴いて耳から離れなくなり、「ドンツ、ドンツ、ドンツ、ドンツ…!」と動き出したくなった。誰も傷つけない、ポジティブな意匠に満ちた流行歌。こういう不特定多数の人に救いや歓びを与える文化は尊いものだと思う。MVを観て、コカコーラも飲みたくなった。

参考
   

ブログ アーカイブ