2020年11月22日日曜日

Mr.Children 道標の歌


 2020年11月発売。ミスチルのお抱えライター(?)である小貫信昭氏が綴るMr.Childrenの歴史の本。手元に届いて1日で読んでしまった。

 小貫氏は25年にわたりMr.Childrenの取材を続けており、メンバーおよび関係者の直接のインタビューに基づく内容が多く、事実関係には信頼が置ける。時点時点においての楽曲制作の背景、活動の水面下での状況、各人の心情など、目新しい内容は少ないが、長年のファンにとって味わい深いものが多い。いろいろ詳しく書いてあるが、プライベートやセンシティブな話題(離婚の話とか)に触れないあたり、メンバーへの気遣い(愛)を感じる。

 本書の構成は桜井、田原、中川、鈴木(Jen)の中学と高校での出会いから掘り起こし、下積み時代、1992年のメジャーデビューから、2020年現在に至るまでのロックバンドMr.Childrenの歴史が、時系列順に書いてある。各章のタイトルは『innocentworld』、『終わりなき旅』、『Sign』などその時代を代表する楽曲名である。

 ミスチルは2020年現在デビュー28年目で、人気は衰えることなく、日本の音楽業界のメインストリームに存在し続けている。その秘訣となっているのは、メンバーの音楽に対する貪欲さや真摯さであると、随所から感じ取られる。そして、長続きするバンドであるためには、メンバー間でのほどよい距離感、礼節、誠実さ、素朴な感じの良さが必要なのかと、それぞれの言動や事実関係の端々から気づかされる。一言で言えば、イヤな奴がいないのだ。それがどれだけ希有であり、力強いファクターであるか、考えることも一興であると思われる。

 来月発売のアルバム『SOUNDTRACKS』へ向けて、気分を高めるには最適の一冊である。
 

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