2019年2月16日土曜日

HOLES


 アメリカの児童文学作家Louis Sachar著、1998年出版のジュブナイル作品。

 邦訳の『穴』を大学生の頃に読んでいたく気に入り、いつか読もうと思って本棚に眠っていた原作のペーパーバックを英語の学習もかねて読んでみた。わりと楽しく読めた…が、語彙はやはり小説を読むためのものが必要なようで、自分の英語力ではまだアメリカの中学生にも及ばないということを実感した。canteen(水筒)とか、blister(水ぶくれ)とか、spat(spit唾を吐くの過去形)とか、調べて意味を再発見した単語も多く、やっぱ数読まんとダメかと思った。

 内容は、15歳の少年スタンリー・イェルナッツ(Stanley・Yelnats, 名前が回文)が、無実の罪で矯正施設である砂漠のキャンプ地に連れてこられ、炎天下の中でひたすら穴を掘ることを命じられるという内容。理不尽な酷い目に遭うお人好しで愚鈍な少年の苦境、成長、運命の物語である。これだけ書くと味気ないが、伏線のまとめ方や舞台装置が上質なため、読後感は素晴らしい。読み終えた後に物語の構造を検討すると、よく出来てるなと唸らされる。

 読書中級者の日本人諸氏には日本語訳を勧める。純粋にいい物語であり、心の滋養になる。
        

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