2019年11月4日月曜日

マンガ「獄中面会物語」


 作者が実在の死刑囚に面会したノンフィクションの漫画版。ホリエモンがメルマガで紹介していたのを見て衝動的に購入。電子書籍Dolyで読。2019年9月出版。

 読んだ動機は怖いもの見たさだろうか。凶悪犯罪を犯した人間のありのままの雰囲気や思考内容を知りたかった。おそらく脚色はさほどなく、言動や所作の細部にリアリティが宿る。本書では7人の死刑判決を受けた犯罪者が登場する。

 境界知能、妄想性障害で実刑をくらうケースが実際には多く、本書にも登場している。精神障害のあるのものは刑法第39条に基づき減刑されるべきではないか、と作者は疑義を呈するが、私としてはこのあたりの「相場」が妥当ではないかと思う。そうしなければ、犯罪者の多くは正常な判断ができなかったゆえに減刑されることになり、世間は納得しないし、世も乱れるだろう。実際には、現場の裁判官や精神鑑定人が空気を読んで、しばしば恣意的な判定をしている印象がある。

 私は精神鑑定に携わったことがあるし、患者に殴られて警察で取り調べを受けたこともあるから実情には比較的詳しい方だと思うが、結局、事件当時の完全な真実なんて分かりようがないと思う。裁判で語られる「事実」には、警察官や法曹関係者の想像したストーリーが多く含まれるのだから。そのような諦めを抱いている私のような人間にとって、本書は価値のあるものである。このような物語の蓄積が、真実を見る目を養うように思える。
     

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