2019年6月9日日曜日

読書という荒野


 幻冬舎社長、見城徹の回想録/読書論/仕事論のエッセイ。

 氏のことはこの度のTwitterの騒動(小説家の津原泰水の小説の実売部数を公表し後に謝罪)で興味が湧いた。実は騒動の前から個人的にフォローしており、硬質な文体と潔い主張が気に入っていた。彼の言語中枢はいかにして形成されたか、また、彼は何を理想として読書をしてきたか。そのあたりが自身の体験とともに綴られる。

 「これくらいの強い覚悟を持って本を読めよ」という後進へのメッセージが全体を貫く。編集者としての精神形成、劣等感の克服、人生におけるデシジョンメイキングの指針として、読書体験を通して思考力を養うことがいかに大事かを、男らしい文体で切々と語る。説教臭さやナルシシズムが鼻につくと言って嫌う人が多そうだが、私は好きだ。彼の編集者、会社経営者としての実績が凄まじさにはただただ恐れおののく。

 これは今年読んだ作品の中でもかなりのヒット。胸が熱くなり、もっといい本を読みたくなる。こういう気合いの入ったおっさんが今の日本には圧倒的に足りない。
   

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