2018年10月6日土曜日

重力と呼吸


 ミスチル4年ぶりのニューアルバム。10曲。48分。

 これは「音」のアルバムだというのが最初の印象。作風としては『REFLECTION』を経て作られた『I LOVE U』という感じ。ギター、ベース、ドラムを押し出すロックなバンドサウンドが前作以上に強い。そして、音が複雑で、言葉の比重が少ない。背景にあるマインドは「別にもう、いいこととか言おうと思っていない」という達観に思える。

 表現者としての姿勢は、なんというか、ひねくれている。世間のマジョリティーが求めるミスチルを否定するような、安直な理解を拒むような、衝動性と生理感覚を優先した複雑な音像を追求している。公開されているロングインタビュー(これ)でも桜井和寿が隠さずに話しているが、態度として尖っているのである。収録曲は10曲と少なめで、発売前から公開していた”お伽話”、”こころ”、ドラマとタイアップしていた”ヒカリノアトリエ”を外してくるあたり、意図があって厳選し、大胆に削ぎ落とした感がある。

 初めて聴いたときは#3 SINGLESが至高と思ったが、聴けば聴くほど#1 Your Song、#10 皮膚呼吸”が強い。途中で登場する#4 here comes my love、#9 himawariも味わい深い。音が複雑だが、聴き込むほどに味わいを楽しめる作りになっている。重厚だ。そして、聴き込める幸せよ。
   

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