2015年10月5日月曜日

ひとりっ子


 2007年出版のグレッグ・イーガンの短編集。日本語訳・編としては3作目。

 相も変わらず、脳へ操作を加えてアイデンティティを突き詰める作品が多い。『行動原理』『真心』『決断者』『ふたりの距離』あたりがその路線。数学SFの『ルミナス』は上海が舞台のスパイ映画のような空気を味わえる。

 歴史改変ものの『オラクル』と、AI(人工知能)の子を巡る夫婦の葛藤を描く表題作『ひとりっ子』は量子論的な多世界解釈(異なる世界線の存在、パラレルワールド的なやつ)が関係する話らしいが難しすぎて初読ではよく分からず。

 イーガンの短編について、個人的にはちょっと飽きがきている。衒学的な科学的着想の彩りと登場人物がアイデンティティに悩む展開がワンパターンな印象。量子論、代数学、プログラミング、あたりを勉強したら理解が促進し、もっと楽しく読めるのか。

 とは言え、奥泉光の巻末解説を読んで、次は『順列都市』に挑みたい気分に。
   

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