2014年9月16日火曜日

チェ39歳 別れの手紙


 キューバでの革命の成功後、ゲバラが「革命の輸出」のためにボリビアに渡航し、斃れるまでを描いたスティーブン・ソダーバーグ監督のチェ・ゲバラの伝記映画の後編。

 過剰な演出を排し、晩年のゲバラが見たであろう光景が淡々と流れていく。ボリビアのジャングルの行軍を続ける中で、疲労と空腹に苛まれ、敵の銃弾で仲間は次々と死傷していく。そんな過酷な状況下、持病の喘息に苦しみながらも、物静かに佇み、言葉少なに理想を説き、仲間を鼓舞する。高い理想に生きたゲバラの姿は深い人間愛に裏打ちされた威厳に溢れている。

 史実を知らないとストーリーの理解が深まらないと思われるため、ゲバラやキューバ革命に興味がない人にはあまりお勧めしない。いずれかに愛着があるならば、説明が過ぎず、小津安二郎作品に通じる会話中の「間」の中にある思索を巡らす余地を楽しめる。成熟した大人の映画。
   

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